「今週の獅子座は二位のラッキーっと、へへへ」
 テレビを見ながらささやかな喜びに浸っていた犬に迫る不穏な影があった!
「それはそれは。良かったですねえ犬」
「む、骸さん」
 冷ややかな優しい笑みという、独特の笑顔を主人に向けられ後ずさる。ボンゴレあたりなら
独特なのは髪型と笑声だけで十分だよ!と罵った(?)だろうが、自分たちでは無理な話だ。
傍でみている千種はそう思った。

「僕は自分の星座なんて知りませんけどね。僕らは全員、生まれ日も知らない不遇の子供たちだと思っていました」

 ふうと憂い含みの横顔をさらし、ちらと向けられた流し目に怯える。

「違うびょん!むむ、骸さんがーっ」
「僕が何です」
 こそっと千種が囁いた。
「骸さまが、犬は犬座に違いないと――」
「莫迦なことを。犬座なんて無いだろうに」
「…おっしゃって、ありませんと伝えましたら、では獅子座でしょうと」
 投げやりに。という最後の一言を慎むだけの知恵が彼にはあった。
 何事もないように骸は頷いた。

「そうでしたか。では真実の運勢がどうかなんて怪しいですね」
 そんなに部下の好運が腹立たしいのか、とボンゴレあたりなら以下略。
 犬が流れ続ける番組を指さした。

「あっ、ほらほら骸さん!双子座、一位れす!」
「双子座がどうしたと云うんです?」
「骸さま。骸さまが以前、誕生日は寛文6年6月6日だと――」
「そういや、かんぶんって西暦何年ー?」
 1666年である。

「ああ、確かあの頃に…」
 言いかけて骸が言葉をとめた、
 ちなみに千種の記憶によれば、そんな話をした直前にテレビ放映のホラーでオカルトで悪魔の子が出てくる
宗教っぽい某有名映画を三人で観たのだが、犬は覚えていないであろう。

「今では6月9日でもいいかもしれませんね。あるいは9月6日…」
「ほへ、いまではぁ?」
「6月ならどちらでも双子座です、骸さま」
 千種は抜かりなくまとめに入った。
「一番っす、一番ラッキー!」
 流し目の迫力を思い出した犬も繰りかえす。
 一番、と呟いた骸の口端が上がるのを部下たちは確かに見た。

「…クフフ、一応喜んであげましょう。満足ですか?」

「骸さん背中向けて誰に喋っ、テェッ!!」
 千種は犬の足を思いっきり踏んでおいた。


 主の機嫌がいいに越したことはないのだった。






 
アニリボ星占いネタ・コメントしちゃう骸さんが衝撃だった。